リトル・ダンサー

偏見を乗り越えて

家族の愛が時として新たな可能性を切り開く事がある。ただなりたいと思ったものが、時代という壁に阻まれてなれないときがあった。今でこそ日本はもちろん、世界中で男女均等が普遍になりつつある社会が成り立とうとしています。まだいくらか偏見はあるものの、かつては女性しかなることが出来ないと言われていた看護師などの職業に男性が就職出来るようになるなどの機会が増えてきている。そんな性別による差を乗り越えて、一つの夢を勝ち得た少年の物語がある。こちらもまた家族愛を語る上で実は外せない名作として語られており、ここで取り上げておきたい。

その作品とは『リトル・ダンサー』というもので、2001年に公開されている。この年は家族をテーマにした作品が随分作られているなぁと思うかもしれませんが、ただの偶然だと思いたい。どの映画業界も一貫して作るのが普通だったなどとなれば、ある意味斬新でしょうが。

さて、今作で見られる家族愛とは一体どんな点に焦点がおかれているかというと、主人公たる少年が親の敷いたレールではない進路、その一つになりたいと志すことで物語は動き始める。その職業とは、『バレエダンサー』だ。

家族で観る映画

物語の世界観で見た場合

今作の舞台は1980年台の炭鉱街で繰り広げられる、といえば閉塞感の漂う街で暮らしていた少年の抱いた夢に、家族が怒りを示すのは目に見えているでしょう。今作の主人公であるビリーは、父から将来はボクサーを目指せと言わんばかりにボクシングを習わされていたものの、優しい気性の持ち主であったがゆえに殴り合いをするだけの競技に面白さを見いだせずにいた。けれど父がジムにこちらの意思と関係なく通わされていたこともあって、自身には合わないと自覚していた。

そんなビリーに転機が訪れます。ジムの隅で開かれたバレエ教室を見たとき、音楽が好きだったこともあって曲に合わせて優雅に踊るその様子に憧れを持ち始めていった。やがて教室に参加することになる、父に内緒でだ、そしてこの行動こそ岐路も立たされるのです。面白いと感じるビリーに、教室を開いていたウィルキンソン夫人が才能を見出したことによりそれまでの生活が激変します、

ボクシングとは違い、自分が本当に楽しいと思えるものと出会ったこと、元から才能があったこともありその実力をメキメキと伸ばしていったことで、ビリーは活き活きとなっていきます。やがてボクシングなどよりもバレエの方を重視するようになっていく。そのまま楽しくも充実した時間が流れていくと思われましたが、一連の行動が父の耳に届いてしまったことで物語は激変する。

親子の関係に亀裂が走る

ビリーがバレエに熱中する最中、彼の父はビリーの兄であるトニーと共に不況に対してのストライキに参加していた。経済的な不満などが爆発する中での行動、それでもビリーには自分が信じる正しい道を示すためにボクシングを習わせていました。けれどそのビリーがボクシングよりもバレエに夢中になっていたことを知って、激怒して親子間の関係に亀裂が走ってしまう。教えていたウィルキンソン夫人に対しても関わるなと言ってしまうほど。

やがて兄であるトニーが過激なストに参加していたことで逮捕されてしまい、ビリーも家族の大事にバレエに関わっていられないとして離れてしまうのだった。けれどそれは本当の意味で離れたわけではなく、彼が改めてバレエの存在無くして自分はないと気づくきっかけにもなるのです。

そして

そんなビリーの才能を認め、許したのが他でもない父親だったのです。閉塞された世界でただ一人、自分の息子であるビリーが踊る様子を始めてみた彼は、その時に確信した、この子には才能がある、その一筋の光明を見出したことによってビリーを本格的にバレエダンサーにすることを公に認めた。

またビリーのことをきっかけにこれまで参加してきたストにもスト破りの列に参加するなどの意欲を見せる。他でもない、ビリーがバレエを存分に習えるように学校へ通わせるための資金を稼ぐためだ。それは逮捕された兄もやがて共有する目的となり、後に単行仲間からのカンパもあってビリーは無事、ロンドンにあるバレエ学校へと進学を許されるのです。

邦画特集

親子の愛があったからこそ

バレエダンサーに男性がなる、というのも中々勇気がいるもの。今でこそパフォーマーとしての可能性で見れば十分需要はありますが、そもそもバレエという職業に男性がつけるという発想すらなかった人がほとんどだと思います。そんな少年が抱いた大志はやがて自らの手で叶うこととなり、彼の夢は新たな可能性に向けて邁進していく。

夢見ること、それは誰でも出来るもの。ですが子供一人で叶えられるものではない夢でも、親の助力があるだけで大きく可能性が広がります。

あの名作をリバイバル