同キャストで繰り広げられるコメディも

家族はつらいよ

家族って良いですよね、そう教えられる映画が東京家族ですが、家族が必ずしも平穏無事、暖々としたものかといえばそうではないのが真理だ。筆者にも経験はあるが、ある夜に家で愛猫たちと遊んでいる時に、母親が突如扉を突き破らんばかりに入ってきた事がある。何事かと思えば涙目をして次の一言、『お父さんと離婚する!』と喚く。本来なら驚くところなのだが、この時筆者の喉から出てきた言葉は『今度は何があったの?』と淡々と、至極冷静に、そしてやや呆れ返った表情を浮かべながら冷めつつ問いかけた。

家族間で起きやすい問題とは、平たく言ってしまえば人間関係の延長線上です。他人同士である友人間で繰り広げられる喧嘩ならその日はもう顔を合わせなくて済みますが、同じ屋根の下で暮らしていたらそうもいきません。それが自分の親が喧嘩をしたら、疲れるのは当人たちもですがそれをフォローする側に回る人たちだ。この時も本当にささやかな、ちょっとした不満の積み重ねから喧嘩に発展したらしく、日にちを置いてそれぞれの話を聞いて仲を取り持った。どちらにも言い分はあるが、話を客観的に、主観的・感情的になり過ぎないように分析すると大本ではどちらにも非があるもの。それを意識して話をすれば、大抵のことは収まる。筆者はその都度、荒ぶる二人を落ち着かせていたが、姉に言わせれば『似た者同士なんだから離婚することはないよ』と、こちらはこちらで別の観点からバッサリ斬っていた。

喧嘩もいつ始まるかなんて予想できません、それは人生において同じことがいえます。諍いならまだ良い方、これがもし本格的に離婚という段階へ移行したら厄介な事になってしまいます。そんな誰も予想していなかった事態を描いた物語を描いた作品として『家族は辛いよ』という作品が今年2016年3月に公開されました。

家族で観る映画

作品概要

家族は辛いよ、という作品についてですが端的に言えば突如起こった家族問題にしっちゃかめっちゃかになるというもの。その始まりは、とある老夫婦が突如として出くわす『熟年離婚』という問題からだ。夫婦というものは言ってしまえば赤の他人である異性が恋愛関係から互いを伴侶として認め合う形で共に生活をする事。家族を形成してこれまでとは違った、自分たちだけのコミュニティを作り出すというものだ。

一度築き上げられたコミュニティから離脱すること、これは難儀なこと。家族というものが出来てしまうと、それは言ってしまえば枷となります。枷が穏やかな物で円満に緩く締め付けるものでなければ苦ではありませんが、それを重荷に感じてしまう人もいるのは事実。筆者も反抗期の頃、家族という存在が嫌で嫌でしょうがなかった。ただそれも乗り越えてしまえば家族ほど大事なものはない、そう思えるものです。

ただ今作ではそんな家族の柱となっている親が直面する離婚、しかも高齢者になってからとなると話はまた大分違ってきます。色々と負担もありますが、とりあえずは今作のあらすじから簡単に紹介していこう。

あらすじ

ごく普通の家族だった平田家に突如として青天の霹靂とも言える事態が巻き起こる。夫であり父でもある周吉が、妻である富子に誕生日が近づいていることからプレゼントは欲しいかと尋ねる。なんでもいいと言われ、富子が出したものは一枚の紙。それは『離婚届』であり、これからは自由に生きていきたいと告げたのだ。

その後長女である成子までもが離婚してやるとわめき始める始末。今まで平穏に暮らしていたはずの平田家を突如として襲う離婚問題、それは予想を超える思いがけない結末を迎えます。

面白いところ

今作の面白いところとしては、3年前に公開された東京家族に出演していたキャストが同じ立場のキャラを演じているところだ。一部は名前が異なる、改名しているなどの違いはあるものの、概ね最初から最後まで一貫した安定感のある演技が楽しめます。何処かシュールで、かつリアリティのある内容をもたせながら最終的に落ち着かせる家族という存在のありがたさを訴える東京家族とはまた違った視点から、今作は家族の大事さを語っています。離婚劇からスタートしているので、シリアスな展開が待ち構えているかといえばそうでもない。終始安定した内容には安心して見ていられる雰囲気も漂っている。

シリアスなんですが時々笑わせてくれるシーンなど、見ていて面白いといえる作品だ。

邦画特集

一昔前の家族

公開されてから半年程度しか公開されていないので明確なネタバレは避けますが、東京家族を見た人は一度見てみるといいでしょう。同じキャストで、劇中では名前こそ違いますが同じ立場で別の切り口から家族のありがたみを訴えている今作の面白さを体験できる。一つ懸念事項としては、現代の家族というよりは昭和時代における家族像という印象が強く全面的に強調されているので、違和感を覚えるという人もいるでしょう。

それも面白さを盛り立ててくれるものとして見れば、違った見方が出来るかもしれません。

あの名作をリバイバル