原作となる作品

東京物語と東京家族

東京家族を見て貰った後、エンドロールが終わってスクリーンに一文記される。

この作品を小津安二郎監督に捧げる

これが何を意味しているのだろうと疑問に思った人もいるでしょう、予習もなく見に来た人には突然出てきたメッセージをキョトンと見ていた人もいると思いますが、これが意味するのは今作を作れたのにはそこに記された監督のおかげだという点だ。

そう、実は東京家族とはかつて制作・公開されたとある映画のリメイク作品だったのです。東京家族とは物語の展開や内容が若干異なるものの、最終的に落ち着く場所に落ち着いているのです。どの映画をリメイクしたのかというと、『東京物語』と言われるもので1953年に公開された作品だ。丁度東京家族が公開されてから50年後となっているので、それも意図しての公開日だったのかもしれません。つまりだ、リメイクの話が出て公開を予定していた2011年よりは送らせて誕生してから50年目のリメイク版の登場となっているのでインパクトさがかなり異なります。

公開延期の理由は当時の状況を考慮してのことですが、それが功を奏したといえます。

家族で観る映画

終戦後に制作された作品として

今作が公開されたのは1953年、つまり終戦してからまだ10年も経過していない頃だ。こんな作品を作ったのも一重に日本人が家族との絆を忘れないでもらいたいとする思いが監督に会ったのかもしれません。事実、当時として興行収入は1億を超えているので十分成功作であり、当時を代表する名作となっています。それが時代を超えてリメイク版が公開されたのも、やはり何か縁があるとしてか思えない。大事としては東京物語の方が圧倒的ですが、東京家族も日本全体を揺るがす問題として東日本大震災が起こっています。世界大戦末期から数える間もないくらいの頃の話が題材になっている時点で、日本にとっては忘れられない作品といえそうだ。

海外からの評価として

そんな東京物語ですが、イギリスのとあるランキングでは『21世紀に残した映画100本』の中に今作も候補として選出された。

理由としては、

『年老いた夫婦が成長した子どもたちに会うため、上京する旅を通して、小津の神秘的かつ細やかな叙述法によって家族の繋がりとその喪失という主題を見るものの心に訴えかける』

こうした寸評を出しています。作品としてのクオリティが評価されてか、東京物語はニューヨーク近代美術館に収蔵されているほどで、日本での人気はもちろんのこと、細やかな作品作りをしたとして未だに根強く人気を誇り続けているという。

現代の日本映画には失望していると外国人が発言しているのを何度か聞いたことがあります。それもこれも東京物語を始めとした昭和中期、戦後間もない頃ながら制作されて人気を博した作品をを知っているからこその評価だ。ただつまらないと卑下するのではなく、映像作品として面白い歴史があるからこそ期待したいという思いが滲み出ているのがよくわかります。

内容のある部分

原作、そしてリメイク版の2つを見比べてみると内容はさほど変わらない。時代を感じさせるのは百も承知としても、ほとんどのストーリーは一環しているのが良い。原作にはないリメイク版オリジナル、的な発想がもしあれば恐らく評価も180度変わっていたかもしれません。ただ昭和と平成という時代区分による差異はあっても、終盤で行われるある出来事で兄弟間で揉め事が起きるという展開については人によって思うところもかなり違う点だ。

自分がもし、同じ立場になったらどういう反応を示すか、などと想像したら色々と考えさせられます。ただあまりに性急すぎるのもいかがなものかと、そう感じた。

邦画特集

家族というものについて

昭和の、その時代に生きた人たちにとってはこうした家族のあり方はあまりにフィクションじみていると評価されたかもしれません。ただ現代人からしてみれば、原作の東京物語の中で描かれている世界観は実にリアリティのある内容だと言える。その頃もまだ戦後間もなく復興への兆しがようやっと見え始めた頃だったため、余裕のない人は劇中のように家族に対してそっけない態度を見せてしまったという人ももしかしたらいるかもしれません。

リメイク作品の東京家族もいいですが、そちらを見てから原作の東京物語を見てもらえば内容の厚みと面白みをより理解できるはずだ。

あの名作をリバイバル