こちらも忘れてはならない

クレヨンしんちゃんの話

サザエさんほどではありませんが、家族って良いなぁと思わせてくれる作品にクレヨンしんちゃんも例としてあげられます。国民的アニメとして評価も高く、最近だと父親役を担当している藤原啓治さんが病気療養のため休業するというハプニングもあるなどしていますが、それだけ人気が高い話となっている。ですが今作は元々児童向けに作られたものではなく、もっと年齢が高めの人たちに向けて送るシュールなギャグ漫画というのがすべての原点だ。

筆者はその原作を1巻から購入していたのでよく知っているが、今のしんのすけと昔のしんのすけでは辛口度合いが大きく異なります。かつてのしんちゃんはまさに無法者、親を舐めている言動で翻弄し、下品さも今とは比較になりません。また母であるみさえに関しても昔と今では、息子であるしんのすけに体罰を与える表現もほとんど見られなくなりました。これは一時期体罰を働く親は最低、などと苦情が集まってとのこと。原作でもそのような流れになるなど、大きく変容を見せている作品となっています。それでもシュールな笑いを狙っている点が面白い作品に変わりありません。

そんなクレヨンしんちゃんで家族愛を感じられる作品と上げたのは、なんといっても劇場作品の中で本気で泣ける内容のものが存在しているからだ。その中でも家族の大事さを語っているのが、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』という9作目の映画が挙げられます。

家族で観る映画

屈指の名作として

クレヨンしんちゃんの映画作品には何気に名作と、一度は見ておきたい作品というものが多く存在している。その一つにオトナ帝国の逆襲も挙げられます。公開当初の人気はもちろんのこと、その後の後年に生まれたファンたちからの熱いエールによって今作の人気はクレヨンしんちゃん映画シリーズの中でもトップクラスの人気となっています。何より今作は、公開された2001年の中でもとりわけ高い人気を集めたほどだ。その頃はまだオタクという存在を文化的に容認する社会ではなかったため、かなり特異な例だったのがよくわかります。

そんな名作の中で何が一番家族って良いなぁと思わせてくれるのかというと、今作で洗脳された両親を助けるために奮起するしんのすけの行動にあります。

過去へ回帰してしまった大人たち

今作ではあることがきっかけとなり、大人たちが子供時代に精神が退行してしまい、子どもたちだけが取り残されるという事態が起こってしまった。意図的に対抗させられ、洗脳されてしまった親を助けるためにしんのすけは仲間たちと共に奮起する。奇しくも仲間たちの犠牲をなしてやっとたどり着いた父親であるひろしと再会した。けれどひろしは愛息子のことを完全に忘れている始末、それを思いださせるためにしんのすけはひろしの靴を取り出してその異臭を嗅がせることにより記憶を取り戻させようとする。

これまで自分がどんな人生を歩んできたのか、様々な岐路に立たされながらも順風満帆と理想的にいかなくても、確かに温かく楽しい家族に恵まれたひろしは全てを思い出して涙ながらにしんのすけを抱きしめる。そこでしんのすけがきつく抱きしめる父に対して、自分のことが分かるかと問う。嗚咽混じりにわかると話す姿には、今まで忘れていてごめんという意図も含まれていると個人的に感じた。

このシーンは実際に映像を見てもらえればわかりますが、アニメ映画という枠の中でもとりわけ名シーンとして受け継がれるべき場面となっています。

過去に行ったある出来事

名作の多いクレヨンしんちゃんですが、テレビシリーズでは過去に起こった苦情の数も半端ない事になっている。中でも一番の苦情を起こす原因となったのが、前番組であるドラえもんも過去に一度だけコラボをしたことがあるのです。ご存じない方も多いかもしれませんが、実はあるのだ。ただその表現があまりにクレヨンしんちゃんテイストを盛り込んだ下品さがあったため、以後はコラボの話はなくなってしまったとのこと。この時のことをリアルタイムで見ていたので知っているが、ドラえもんといえばあの道具をあんな使い方したらそりゃお上も怒るわと、今でも思ってしまう。

邦画特集

問題は孕んでいるものの

クレヨンしんちゃんは番組的に見れば色々な問題を孕んでいるので有名だ。今でも子供に見せたくない番組の上位に食い込むほど問題視する人も多いですが、映画はそういったテイストを含みながらも感動の名シーンを多く持つ作品が勢揃いとなっている。テレビとは違った雰囲気を見せたいという趣向もあるのかもしれませんが、それが思わぬ感動作を生み出しているのは事実。

ただクレヨンしんちゃんほどではないにしても、意外と子どもとはあんな感じで下品さに興味を示すものだ。そう考えればむしろしんのすけはまだ一般的で、タラちゃんのような良識溢れる常識人風に描かれている方が異常かもしれない。どちらが正しいと述べるつもりはないが、とりあえず家族のあり方で良いなぁと思える感動作の一つであることには間違いないでしょう。

あの名作をリバイバル